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博士と狂人のshimaluckyのネタバレレビュー・内容・結末

博士と狂人(2018年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

世界最高峰のOxford英語大辞典、製作をめぐる実話を元にした人間ドラマ。今更、なぜ地味なテーマを扱うのか?その疑問はさせておき、1800年代後半のイギリス、設定を丁寧に表現している点、起承転結の古くて長い構成には少し飽きつつも、王道の重厚な映画を巧い役者を揃えて丁寧に作り上げた良作だった。

学士号を持たないが独学で多数言語を操るスコットランド人の仕立屋マレー(メル・ギブソン)が英国国家のプロジェクトである英語辞書の製作に抜擢される。他の学者と一緒に編集していくが、どうしても人手が足らない。南北戦争のトラウマで精神を病んだ上、間違えて人を殺してしまい刑務所にいるアメリカ人の元軍医マイナー(ショーン・ペン)、ちょっとしたきっかけからマレーの仕事を手伝う事になった。
マレーとマイナー、二人の天才の交流、またマイナーの被害者家族へのお詫びの手助け、疲れた心をほぐされていく気持ちになった。

「始めたら信念をもってやり遂げろ」「言葉は生きている」

その通りです。

英アカデミック界の権威主義、階級や外国人へのブラインドかかった差別、その一方で使えるものはドンドン活用していく合理主義、いかにもイギリス!やり遂げろといいつつ、二人の死後も編纂され続け、出来上がるにはかなりの月日がかかるのだけど、それもイギリス!時代を見るという意味で中々味のある作品でした。

*見る側は現在の倫理観で登場人物をジャッジするのはいけないと思う。
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