真田ピロシキ

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.7
懐かしの歌をバックにRPGを撃墜して歌舞伎町のゴジラが火を吹く冒頭からアガる最新版シティハンター。冒頭のみならず至る所でベストアルバムをかけてるかのような選曲や海坊主や美樹、冴子といったお馴染みの面子による活躍の数々、香に対する獠のツンデレも予想を裏切らず、シティハンター好きのツボを全く外さない。極めつけはこれまでの全シティハンターにオマージュを捧げたEDでシリーズが好きな人ほど感情を揺さぶられることだろう。声優も今ではあまり聞けない神谷明を始めとしたベテランが多数でかなりオリジナルを再現した模様。ゲストのキャッツアイも同じ声ですよね?飯豊まりえもこの大物声優陣のなかにいて遜色なく、最初に名前見なければ普通に若手声優と思ってただろう。小金稼ぎの企画ものじゃなく気合を感じられる映画だ。

公開年と同じく2019年が舞台の作品なのでXYZの掲示板はなくなってて連絡方法がハイテクになってたりキャッツアイ(店の方)に海小坊主なるペッパー君のようなロボットがいたりするが全体のノリは80〜90年代のシティハンター。ここで不安だったのは獠のもっこり魔演出でやっぱりこれは今見るにはちょっとキツい。シティハンターの場合はお約束として香に鉄槌を喰らわされるので因果応報は描かれているのだがセクハラはセクハラなんだよなあ。それまで狙ってやってた時は阻止されてたシャワー覘きが意図してない時に成功させてるのが悪質。「わざとじゃないから悪くはないんだゲヘヘ」的な少年漫画のラッキースケベって最近特に批判されてる要素じゃないですか。本作の作り手がこうした点に無自覚的なのは面白いだけに悲しいなあ。それでも笑えないゲイジョークを入れてたフランスの実写版に比べればずっと良いです。

アクションシーンはこれまた時代を反映して主な敵となるのは軍事ドローン。獠が女子更衣室の覗きに使おうとしてたエローンで伏線が貼られている。笑っていいのか呆れるのか。それで飛行型ドローンをショットガンで撃ち落としていくのだけれど、このドローン君非常に賢くて弱点だったローター部分を防御するようになり手強い。しかもそんなのがたくさん。これまで数々の難敵を撃破してきた冴羽獠の相手としては最早生身の人間では勝負にならねえと機械にレベルアップしたのは説得力がある。それでも神業の跳弾で倒す獠スゲーってなる話ですよ。ショットガンなんてハンデだ。リボルバーこそ本気。ラスボスは脳波コントロールの巨大ドローン。プレデターみたいな展開あり。流石に目視でミサイルを何発も避けるのはあり得ないし、あの爆発で無傷なのも主人公補正強すぎなんだけどやはりシティハンターはジャンプの漫画なので敵はインフレさせないといけないのだ。

あれ、最早ジャンプ的展開が楽しめない人間なのでこうして書くとイマイチ要素が少なくないように思えてきたが、鑑賞中は大体楽しく手に汗握って見る事が出来ました。ただシティハンターの様式美から脱却した新作を見たい気持ちもある。ろくに知らないエンジェルハートを見てみようかな。