ゆず

劇場版総集編 前編 メイドインアビス 旅立ちの夜明けのゆずのレビュー・感想・評価

4.0
キャラの可愛らしさに反してエグい展開が待っている「度し難い…」作風。
総集編二部作の前編。元のTVシリーズは全13話(第13話のみ1時間SP)で未完。前編は8話分の総集編のようだけどそんなにダイジェスト感はなし。私は本作が初見。

世界観がとても面白い。深さ15000mを越える巨大な縦穴アビス。探窟家見習いの少女と記憶を失くしたロボットの少年が、アビスの深層を目指し命がけの旅に出る。
深界一層から七層までの層ごとの特異な環境・生態系。下降時には何もないが、上昇時に身体に異変が起こる「上昇負荷」、通称「アビスの呪い」。力場の影響で時間の流れが地上よりも遅い。人類のそれを遥かに超える技術で造られた不思議な力を持つ「遺物」の数々。そんな過酷なアビスを踏破し、最深部を目指す伝説級の探窟家「白笛」たち。
縦穴に潜るというシンプルな行動が、設定しだいでここまで魅力的に描けるんだなあと思った。
特に「上昇負荷」の問題。話に聞くだけでも「穴という穴からの流血」「全感覚の喪失」「人間性の喪失、もしくは死」などなど、深くまで潜ったら最後、基本的に戻れない片道切符の旅ということが分かる。それをリコたちも充分に理解しているからこそ、旅立ちは今生の別れに等しく、涙なしには旅立てないのである。旅立つ、ということが他のアニメと比べて遥かに重い。

元気で明るいリコの衝撃的な秘密が前編で明かされるが、しかしそれは後編の酷さに比べればまだまだ可愛いものだった!?
あと前編はマルルクちゃんがやば可愛い。俺だったらずっとあの基地に居座ってマルルクちゃんの成長を見守るわー。
ゆず

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