トムトム

止められるか、俺たちをのトムトムのレビュー・感想・評価

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)
3.5
故・若松孝二監督の若松プロダクションにいた女性助監督 吉積めぐみを主人公に若松プロの映画人を描いた作品。

若松孝二作品はほとんど見た事がなく時代的にも僕の親世代の物語ですが、酒とタバコと知性と暴力的パワーに満ち溢れた青春ドラマとして楽しく観られました。

OPがカッコイイです。

映画制作のシーンが激しくも楽しそうです。
白石和彌監督はインタビューで題名を「カメラを止めるな!タコ」にしたら良かったと冗談を言っていましたが確かに同類の楽しさがありました。

若松孝二という巨大な才能に集った若者たちが家族的な同士関係を築く雰囲気がとても素晴らしく、ビルの上からみんなで放尿するシーンはグッときました。
ある意味「万引き家族」ですね、若松プロダクションの助監督たちは。

主人公の吉積めぐみを演じた門脇麦が素晴らしかったです。
そのヤサグレ感含めてキュートです。
深夜のプールで全裸で泳いで女性とキスするシーンで目を凝らした方も多いと思います。

若松孝二を主人公にせずに助監督を主人公にしたのは良かったと思います。
稚気に溢れて情熱的な若松孝二を演じた井浦新も良かったです。
というかめちゃくちゃ存在感があります。
怒りと衝動で傑作を撮ってしまう才能に惹かれ挫折する周囲の人間ドラマがイイ。
劇中のセリフで「若松監督は本も読まなければ映画も観ない」、「誰の影響も受けていない」を真に受ければリアル「響 HIBIKI」ですよね。
こちらは映画を作る為には売れる作品も作る世間知はありますが。

実話に忠実にしなければならないから仕方はないですが終盤は少し失速した感があります。
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