おさかなはフィッシュ

旅のおわり世界のはじまりのおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)
3.5
とにかく前向きな気持ちになれる、清々しい映画だった。
人生において夢中になれることを見つけるのは、とても大事。



やらなければならないこと、まずはやると決めたこと。
職業人としてそれらを全うする葉子に、分身たるヤギが、本当に望むことは何かと問いかける。
このヤギがいいヤギで、どこか悠然とした姿に、そんな顔してお前こそどうなんだと、つい突っかかりたくなる。

ハンディカメラを手に、葉子がバザールを往くシーンがよかった。
仕事を忘れて、自らの好奇心のままに進む、進む。(ロケ隊の見事なまでの置いてけぼりっぷりがまた爽快。)
「掘り出し物」なんて言葉があるけれど、その姿は世界を掘削するようで。
前田敦子はやはりアイドルグループのセンターだった人なので、少女の純真さと恐れのなさ、溌剌とした身体の運動がシーンにぴったりとはまる。

ラストの「愛の讃歌」は、人生をまるごと愛するスケール感。
帰国後、オーディションに落ちたって、別の道を進んだって、心のままに歌い上げた経験は、きっと自分を助けてくれる。



テアトル新宿にて鑑賞。
黒沢清監督のトークイベント付きの、贅沢な回。
平易な言葉で語ってくださったのが、ありがたかった。