ろく

マリオネット 私が殺された日のろくのレビュー・感想・評価

3.7
男性の武勇伝が嫌いである(女性のもだけど)。

若いころはこんな悪いことやったどうすごいでしょなんて言葉を聞くと辟易するし、ましてそれが犯罪すれすれだったりするといたたまれなくなってその場から席は外したくなる。いるんだよ、ここだけの話って言って醜悪な話をする輩が。昔からの友人もそれがもとで袂を分かった。

気分悪いねえ。この映画。だってこんなんが実際起きているんだから。それだけでもいやーな気分になってしまう。日本でもスーパーフリーの事件なんかそうでしょ。あれで一番気持ち悪いのは「中枢にいなかった人たち」だよ。自分はそこまではやってませんよ。ノリでその場にいただけで。この「ノリ」って言葉が大嫌い。責任を回避して逃げようとする。僕はどうも集団化して暴徒となる人間が嫌いで(というか集団が嫌い)、おっさんだろうが若者だろうが集団になると急に「悪いことをしてもいいだろ」という感じになる人がほんとダメなんだよ。

とわけわからない冒頭陳述。この映画は実際の事件をモチーフにしているの。詳しくはぐぐってくれ。これだけでもああって感じになるから(ちなみに「だから韓国は」って言葉を吐く人も大嫌い。日本だってこんなの起きているよ)。集団になればなるほど相手の「痛み」に鈍感になる。「痛み」は見えず自分たちの「絆」ばかりを強調する。個として脆弱だから集団化するのにその脆弱を見ないようにする。人間はもともと脆弱なんだから集団になるのはわかるんだけどそこで「自分が脆弱じゃない」なんてことは思わないほうがいいんだけどなぁ。

映画どこ行った。映画としては正直最後のオチが弱かったりするけど、実際のことだからそこまで文句は言うまい。僕は結構考えさせられてしまった。生徒にも「群れるだけの友人だったら別れるべきだ」と言っている僕は少数派なのだろうか。どうもこの手のテーマになると憤りで文章もまとまらない自分がいる。よくないよくない。

クールダウン。性被害がなくなることを切に願う。
ろく

ろく