風ノ助

幸福なラザロの風ノ助のレビュー・感想・評価

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
4.0
80年代初頭、小作制度が廃止されたことを知らされずに領主から搾取され続けていた小さな村の実際の事件を取り入れて作られた話
寓話のように不思議なことが起こるけど村での生活や都会で生きていく人々の映像は瑞々しいリアリティがあった

事件が明るみになった後に村から出て行った人たちは社会支援が行き届かず、厳しい環境を生きていくために嘘をついたり盗みを働いたりする
村にいて搾取されていることを知らなかった頃の方が幸せだったのかもしれない

主人公のラザロは頼まれたことはなんでもするし人の言うことはなんでも信じる純朴な青年
ラザロの周りでは不思議なことも起こり人々は無意識にラザロの頭を撫でたり跪いたりする

ラザロは私たちの指針であり鏡であり人間の良心の象徴のように描かれる

皆んな本当はラザロのように生きていきたいのに世界は弱い人間に厳しい

ラザロは兄弟だと信じている者のために行動を起こそうとして、勘違いした民衆に袋叩きにされてしまう
でも善き行いをしてきたラザロはきっと幸いである
神に愛されているので魂はきっと天で救われるんだと思う

叩いてもよさそうな人を見つけたら無責任に徹底的に叩くのは現代でもあること
なんか福音書にありそうなエピソードだけどわからない
映画を楽しむためにもっと聖書の知識が欲しい

演じる俳優さんが無垢で清らかな心を持ったラザロにピッタリで美しく澄んだ目が印象的でした
風ノ助

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