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幸福なラザロのikumatsuのネタバレレビュー・内容・結末

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

狼はただお腹が空いていただけだった。

この日は寒暖差が激しく、寒がりのわたしは薄めのコートの中に季節外れのインナーダウン。スクリーンの中には、雪の中、半袖のラザロ。

人間は大なり小なり欲望まみれ。
聖人ラザロがその場にいるだけで、周りの欲が色濃く見えました。

物語が不思議な空気を含んでいく後半、特に好きです。素晴らしかった。

色々なものが目まぐるしく押し寄せる現代。人間の欲を叶え続けることにより過剰に便利になり、全てのことが単純にはいかなくなってきました。ラザロが舞い降りたとしても、当時のタンクレディのようには見つけられないでしょう。このラストのように身勝手な欲に食い殺されてしまうのかもしれません。

そんな悲しいことがないといい。生まれたばかりのような心が、ほんの少しでも自分の中に残っていますように。
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