あでぃくしょんBBA

ブラック・クランズマンのあでぃくしょんBBAのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
5.0
2023.02.01 配信で視聴

興味深いやり取りや、シーンが多くて面白かった。
スパイク・リーのこと、過激寄りの黒人人権活動家と思いこんでたけど、こんなコメディも創れる人だったんだね。

本作は、差別される側を、黒人だけに限らず、権利権力上マイノリティに属する人々を包括して描いている。そこにマジョリティ側の“逆差別”という言葉を差しこむことで、“逆差別”の意味を深く考えさせる仕掛けまでしている。政界に進出してKKKの再興をもくろむ指導者を、やたらイヤな奴やキ○ガイとして描かなかったのも、私的に好感度が高い。

ヘイトと陰謀論は感情面で通底するところがあるから互いに親和性を持って混交しやすい。
ヘイトにせよ陰謀論にせよ、土台のすべてが妄想でできあがってるものじゃない。だから、一度ヌマってしまうと抜け出るのが難しい。
「自分の国とあなたが信じているこの国には、あなたがたが入ってくる前に生活を営んでいた人たちなど一切いなかったと断言できますか?」
「自分の国とあなたが信じているこの国は、そういう人たちの血を流させないで成立した国だと胸を張って言えますか?」
この問いにイエスと答えられる国はないだろうし、イエスと答えられる人もおそらくいない(事実など知りません、歴史など知ったこっちゃないです、と言える人以外は)。
しかし、奴隷貿易と奴隷制が300年余り続いた欧米諸国、黒人奴隷解放宣言が発効してから100年近く奴隷制の名残りを残していたアメリカでは、インディアン(先住民)からの土地略取や殺戮の記憶も相まって、“黒人の人権”と聞いただけで耳を塞ぎたくなるホワイトアングロサクソンが多かろう。その所業の正しさ・無謬性の証明に宗教(キリスト教)を使ってたんだから尚更だ。


ラストに、とある事件の実際映像が出てくる。
それ観て思った。アメリカ国民て、筋肉と脂肪の鎧を身に着けてるから一人しか死ななかったんだ。日本人なら5人は死んでる(-_-;)
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