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ブラック・クランズマンのペインのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.3
“スパイク・リーVSタランティーノ”

あまりに色んな事が物が詰め込まれている情報量の多過ぎる映画で、正直1回観ただけではどこからどう言及して書いたらいいかさっぱりな映画なんだけど、まず言えるのはめちゃくちゃ“面白い”映画であるということ。“Fuckトランプ”な今観るべき映画。

某ラッパー(宇多丸さんではない)が言っていた“敷居が低くて奥が深い作品の究極系”という言葉がしっくりくる、物凄く楽しくて為になる映画。

思っていたより“アゲアゲな感じ”ではなかったというのは確かにあるけど、テンポもよく劇中曲も最高に次ぐ最高であり、私はこれでOKと感じた。

本作はOPの1939年「風と共に去りぬ」引用に始まり、1915年「国民の創生」引用からもわかるようにスパイク・リー監督による“アメリカ映画史の総括”であるわけです。

例えば他にも途中、“ブラックスプロイテーション映画”と言われるいわゆる黒人俳優が主演の単純明快な商業映画について言及するシーンがあるんだけど、そこで私の大好きなタランティーノ監督作「ジャッキー・ブラウン」の黒人女優パム・グリアが主演していた映画「コフィー」についても言及される。

ちなみにスパイク・リーとタランティーノは思春期の頃、パム・グリアさんをオカズにオ○ニーしまくっていたというエピソードがあります(どうでもいい情報w)。

話が若干逸れましたが、俳優陣の演技も皆申し分なく良くて特にやっぱりアダム・ドライバーは本当に器用な俳優なんだなと改めて感じました。ジャームッシュ、テリー・ギリアム、レオス・カラックスなどなど巨匠監督に愛され起用されるのも納得。あと、「アイ,トーニャ~」に出ていたあのボンクラ俳優(ポール・ウォルター・ハウザーさん)は何もしていなくても見てるだけでムカついてくる近年で最も最悪(最高)の名脇役。

とにかく潜入捜査モノとしてもたいへん気が利いていてよく出来てるし、終盤の“ブラックパワー”“ホワイトパワー”が呼応するあのシーンの迫力たるや圧巻だし、ラストに突きつけられるスパイク・リーのまさに“Wake Up!”に我々はひれ伏すしかない。
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