コーディー

存在のない子供たちのコーディーのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.4
子供を産む事を投資か何かとしか捉えられず愛も与えず鞭打って金を生ませる。貧困、移民問題の犠牲となるゼインのような子供らに残酷に突き付けられる命の価値。最低な世界に怒り諦めながらも懸命に生きる姿、小さな体が訴える大きな悲しみに蓋しないせめて愛ある社会を願う。

辛く悲しいし映画の登場人物達とほとんど変わらないコミュニティを生きた人らの起用も演技を超えた生の表情や言葉として映し出される。そんな経験を踏まえたゼインの瞳に宿る感情は物語を観ている感覚を忘れる程でだからこそふと見せる濁りのない無垢な表情にも揺さぶられる。

受けた事ない愛を更に幼い不法移民の赤ん坊に注ぐゼイン。先行き見えない状況に置かれて尚他者を思う気持ち、妹弟への想いなど純粋なものをこれ以上踏みにじらないでくれという遣る瀬無さ。社会や大人の都合に翻弄され罪なく地獄を歩く彼らにまず目を向け微かでも変革せんとする監督の熱意に打たれる。

と、まあ凄まじく重い内容の映画ではあるけど侵されない部分での子供たち同士の寄り添い、張り詰めた心の緩む瞬間を愛嬌たっぷりに見せてくれるし結構笑えるシーンもあります。生まれた国や環境がどうであれ子供の笑顔という万国共通の尊い輝き、その力を存分に伝えてくれるし嘆いてるばかりではない。