もじゃ太郎

存在のない子供たちのもじゃ太郎のレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
5.0
難民の子供たちの現実を描いたドラマ。
これまで見てきた映画の中でも最も社会問題を現実的に描いているように見えた。それもそのはず、主人公は本当の難民だった子どもだったらしい。
心が震えた。生涯ベスト級に良い映画だった。

物語は12歳の年端もいかない子どもが自分の親を法廷で訴えるところから始まる。
罪状は「僕を産んだ罪」。少女の強制結婚、子供の人身売買、不法就労など扱う社会問題が自分の育った環境とかけ離れていて馴染みがないが、物語を通じて現代の発展途上国が持つ問題を提示される。こんなに衝撃的な現実があるのかと思うと悲しい。

身分証明書を持たず、虫けら同然の扱いを受ける子どもたち。それでも今日を生き抜くために、より良い生活を夢見て這い上がろうとする姿にただただ驚かされる。

また、裁判を軸に過去を回想する展開が映画的表現としてとても良かった。最後に主人公が笑うシーンで救われた気分になる。 

なぜこの映画が日本で話題にならなかったのか、なぜ自分は映画館で観なかったのか。後悔した。