バナバナ

バハールの涙のバナバナのネタバレレビュー・内容・結末

バハールの涙(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

北イラクのクルド人自治区の中でも、シンジャル山岳地帯に住むヤズディ教徒は、
ゾロアスター教、バラモン教、キリスト教、ユダヤ教と色々な宗教が混ざった様な、イスラム教とは一線を画す宗教だが、
2014年、ヤズディ教徒の町がISに襲われ、男たちは皆殺しにされ、子供たちはISの兵士養成学校へ、女性たちは性奴隷として拉致される。

本作は2018年にノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドや、ISから逃げる事ができた他の女性たちの証言をまとめたフィクションではあるが、その内容は壮絶で生々しい。

ISから逃げる事が出来た女性たちの中には、女性による突撃部隊を結成した者もおり、
そのリーダーは、フランスの大学を卒業してヤズディ教徒の町で弁護士をしていたバハールだ。
彼女たちの目下の最大の作戦は、ISに拉致され、戦闘員として訓練されている子供たちがいる場所を急襲し、解放する事だ。
そこに、メリー・コルヴィンをモデルとする女性記者も同行し、彼女達の実情を伝える。
現在と過去が交差する映像は、どうして彼女たちが銃を持つに至ったかを伝えていく。

彼女たちが敵がいる建物に突入する時などは、IS達が屋上や、狙いやすいところから撃ってくるにも関わらず、何も盾になるものが無い場所を勇敢に突進していく。
彼女たちは奪われた子供たちを取り戻すためには、その命を懸ける事も厭わない。

一方のISたちは、女性に殺されると天国に行けないと伝わっているらしい。
が、これまで散々無実の人達を殺しておいて、まだ天国に行けると思っているとは、なんとおこがましい事か。

ISに参加する青年たちの中には、欧州で教育を受けた者も多いが、彼らが欧州でひどい差別を受けてイスラム原理主義になったとしても、一応先進国で教育を受けてきたくせに、何の罪もない人達の生活や命を突然奪うような事をして、なぜ何も感じないのかが不思議でならない。
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