柊

ドッグマンの柊のレビュー・感想・評価

ドッグマン(2018年製作の映画)
3.7
マッテオ・ガローネ作品は「Gomorra」に次いで二作目。相変わらず廃墟のような風景の中で物語が進んでいく。多分にこの街でも普通の人の生活が営まれているはずなのに、この監督にかかると全てが朽ちていく世界の話のようになる。

シモーネに関しては、もう死んで欲しいと誰もが思うくらいのバカな悪党。それもほとんど考え無し。何をやって生きているのかさえも不明な子どもじみた身体だけ大人。そのシモーネにいいように扱われる気の小さいマルチェロ。なぜ断らない、なぜ離れない。結局は自主性は無いけど、シモーネとあまり変わらない馬鹿なこちらは小悪党なのだ。犬と娘に対しては誠実だけど、それ以外はシモーネ同様モラルが欠けている。でも他の住民も警察さえも何だかモラルに欠けている。
前作同様私の中で、とある町とはナポリのイメージなんだけど、この監督の作品を観ると観光国家イタリアの闇と裏社会が浮き彫りになるようで怖い。
それにしても犬が大きい。これも怖い。そしてトリミングサロンという割には清潔感皆無。あんなサロン私は嫌だ。って言うか、この監督の作品に清潔感を感じた事は無い。
柊