にしやん

アメリカン・アニマルズのにしやんのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
3.5
2004年4人の大学生がケンタッキー州トランシルヴァニア大学の図書館から時価1200万ドル(!)の本を盗もうとした、実際にあった事件を映像化したいわゆる実録もんやな。
映画の冒頭から、この映画は事実を基にした話(Based on true story)やのうて、ほんまの話( true story)やっちゅうことをヤケに強調してきよるな。「そんな訳ないやん。台本書いて役者に芝居させてんねんから」といきなり心の中で突っ込み入れてしもたわ。確かに、役者が演じる事件自体のドラマに、役者が演じる登場人物本人等へのインタビュー映像をところどころ挟み込むっちゅう構造にはなってるけど、こういう風にしたからっちゅうてドラマがイコールtrue storyかどうかは別のような気がすんねんけどな。監督が元々ドキュメンタリー作家やったみたいやから、まあこういうことをやりたかったんやろな。
うーん、やっぱりドキュメンタリー映像挟み込むとドラマ自体がブツブツと切られて、テンポ自体が悪なるな。それに、話を事前にある程度理解して観るんやったらまだしも、何にも知らんと観てしもたら誰が誰の役かも最初は分からんし、ましてや話している内容かてすぐには頭に入って来うへんし、映画にちゃんと集中でけへんわ。フィクションにドキュメンタリーを挟み込む手法自体は斬新かもしれんけど、うまいこといってるかどうかは、わしはちょっと疑問かな。
後半はなかなかおもろかった。自分も一緒にやってるような臨場感あるし、失敗するたんびにめちゃめちゃドキドキするし、何とか逃げ切ってほしいっちゅう気持ちもあるしな。そんなんがいっぺんに押し寄せてくるような感じやな。
せやけど、こいつ等何から何まで全部ダメ。何計画しとんねや。計画自体もあかんし、できるミスは全部やりきった感じやな。アホすぎて途中からはちょっと笑けてきたわ。
それと前半やけど、もうちょっとポップに楽しくってでけへんかったんやろか?犯罪を計画するわくわく感とか高揚感とかが全くあれへんがな。前半に変にドキュメンタリーとか挟み込むもんやから、ドラマの前半もそれに引っ張られてなんか陰鬱な感じになってしもとる。そら現在の本人等のコメントはどうしてもシリアスになってまうやろから。「いやー計画してた時は愉快でしたよ」とか笑いながらとかは中々でけへんからな。前半の計画部分をもっとポップにやってたら、後半の実行部分の重く苦しい現実とかがもっと引き立ったような気がすんねんけどな。監督の狙いが多分ちゃうやろから無理やろとは思うけど。
それとなんで本を盗もうと思ったんかもはっきりしてへんな。何となくの流れでそうなってしもたって感じで、なんかその辺も釈然とせえへんわ。true story にこだわりすぎて、やっぱり人間の内面の描き方が雑やわ。本人出てきてしゃべらせてんねんから、まあええかってことかいな。うーん、どうなんやろ?
おバカな泥棒シーンが結構テンポよくドラマチックに描けてるだけに残念やな。
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