一人旅

マイ・サンシャインの一人旅のレビュー・感想・評価

マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)
5.0
デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督作。

LAサウスセントラルを舞台に、人種差別に起因した大規模な暴動に巻き込まれてゆく人々の姿を描いたドラマ。

2015年の『裸足の季節』で鮮烈な長編デビューを飾ったトルコ出身の女流監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンの長編第二作で、1992年4月末から5月頭にかけて発生した「ロサンゼルス暴動」を背景にしたオリジナルストーリーが描かれています。

舞台はロサンゼルス、サウスセントラル地区。行き場の無い子供たちと暮らしている心優しい黒人女性:ミリーと、少し粗野で怒りっぽい性格の隣人男性:オビーの関わりを軸にして、白人警官が黒人を殴打した「ロドニー・キング事件」や韓国人店主が黒人少女を射殺した「ラターシャ・ハーリンズ射殺事件」に対する不当な判決が引き金となって大規模な暴動へと発展、ミリーや子供達の身に危険が及んで…というお話で、LA暴動へと至った経緯を当時の記録映像を交え詳細に解き明かしつつ、暴動に巻き込まれてしまった人々の姿を見つめています。

実際の事件を題材にした社会派な内容であると同時に、人種や境遇の異なる二人の男女の微妙な恋愛模様を綴った佳作で、主演を務めたハル・ベリー&ダニエル・クレイグのユーモラスな掛け合いも魅力になっています。

そして、ジェームス・ブラウン「Say It Loud:I’m Black And I’m proud」、ビル・ウィザース「City of the Angels」、シャニース「I Love your smile」、そしてエンディングで流れるニーナ・シモン「Ooh Child」等、本作のテーマにぴったり合う黒人歌手たちの既成曲は必聴であります。
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