jonajona

マイ・サンシャインのjonajonaのレビュー・感想・評価

マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)
3.6
正直内容は少し期待より下回ったけど
冒頭からオープニングタイトルが
出るまでの流れが神。

黒人の女の子が歩いてる。
店に入り片手にお札を持ってクセなのかジュースを尻のポケットに入れてレジへ。
店員のクソババア(クソババアめ!)がヒステリックに叫び盗みだと揉め出す。
運悪く当たった腕。店員が銃を構え、呆れ返った女の子が振り向いた瞬間に射撃。
女の子が横たわる周りに血の海。
店員の声が『違う、気付いたら彼女が倒れてた。私は銃を振っただけ』。警察が手を上げて動くな!と言う。
店の周りに集まった黒人男性がその言葉を聞き激昂する。警察と揉み合いになり飛んでった何かが近隣住宅のアパートの窓を突き破る。アパートの住人のクラシックを聴いてた白人の男が怒り狂ってショットガンを窓から宙に撃つ。俺は今機嫌が悪いんだ!さらにその近隣の黒人家族たちは朝の食卓を大家族で囲んでいて、銃声に驚き机の下に隠れる。小さな子供たちが泣き出す。母親がみんなを抱きしめる。イヤホンをした青年が後から来て何事かとみんなを見る。はやく隠れなさいと手を取る母親。この青年が主人公。一連の事件はロドニーキング事件と並びロサンゼルス暴動の引き金になった事件だったようで、ここから公判の実際の映像が流れ、デモ隊の叫びが流れ、ロサンゼルスよ、目を覚ませ!と叫ぶ黒人が映る。背景にはソウル?ブルース?ジャズ?なにかしらオサレな音楽が、
家族でドライブする主人公と母親。カメラで息子を撮っている。取られた幼い頃の主人公は街並みをバックに振り向き誇らしげだ。そこにタイトルロゴ『king』が。

ここが最高にかっこよくて、
史実に基づいた事件の演出として物語に没入させながらそれを伝えるうまさが100点。主人公だと思ってた女の子が唐突に射殺される。え!そんな事で?と言う事で。そこから立て続けに怒りの連鎖の割を食う黒人家族(主人公たち)へと視点が流れていき、ここはフィクションながら実際の事件の公判映像がその後映し出され、単なるフィクションじゃなくて実際にこんな理由で人が殺されるのかと衝撃がさらにくる。
その後、視点が再度戻りフィクションだと思ってた主人公らのホームビデオが映し出される。幼い頃の家族。悠々と街をドライブする少年が光を浴びる姿に『king』の文字。
リアルと物語を相互に強めて現実味を持たせる方法としてこの行ったり来たりがすごいよかった。


内容も、主人公の青年期特有の女子への憧れやその挫折、家族・友人への嫉妬と葛藤が青春み溢れててとてもいい。
ハルベリー演じるオカンとヤサグレ隣人のダニエルグレイブの恋模様も面白かった。けどこの二つと、街の暴動までの道のりと、大家族の下の子たちの暴走具合と、諸々を詰め込みすぎて多少とっ散らかってるのは否めない。それでもこの情報量を上手くまとめた方だと思うけど、感情がついてこないで、どのキャラに心寄せればいいか分からなかったのが正直なところ。
息子?が主人公だと思って見てると1番なんとも言えない後味悪いことを彼がしでかすし、母親の話だとしてみてもラストは最悪。まぁ恋人ができて何よりだけど。
ただ起こる現象を眺めてたような感じで、メッセージ性が強いわりに最後に伝えたいことはなんだったのかわからなかった。
惜しい作品という印象…

ハルベリーがダニエルグレイブにお尻叩かれて欲情する夢を見て、翌朝子供にお尻叩かれてその夢を思い出して赤面して笑い出す…ところめちゃくちゃ好き。エロすぎずかつエロくて素敵。
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