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読まれなかった小説のyoko45のレビュー・感想・評価

読まれなかった小説(2018年製作の映画)
4.3
 家族、仕事、自身の人生、分かったようなことを言わせていただければ…とても哲学的。あらすじを読んで父子の話を想像してはいましたが…かなり重厚です。主人公が町長、女性の幼馴染み、小説家、導師らと交わす会話は一時も目をそらすことができません。
 国は違えど時代と世代の格差を感じます。選べる道も少ない中どう生きるべきか、これはどの世代も共通なのかもしれませんが、なんとなく息苦しくなりつつあるような気もします。本作のなかにも随所に出てきますが、世界の情報は手元にあるのに今いる場所から抜け出すのは難しいですね…
 主人公や父親はおそらく善人ですが尊敬を集める人柄ともいえない普通の人。普通の人々は現状を憂えつつも今を生きるしかないのです。夢あるいは幻影をみせる画が心に刺さります、一歩違えばそうなるかもしれない世界だから。最後の父親の視線と主人公の姿にかすかな希望を感じます。

(メモ)
井戸
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