自作自演おじさんアルベール・デュポンテル!!!
いやーすごい!!!!!世界観に魅了された…
戦争で大切なものを失った二人
アルベールとエドゥアールの
美しく儚い復讐劇。
テリーギリアム程ぶっ飛んだ話ではなく、ティムバートン的な「周囲と違うものを持つ者の苦悩や解放」を描いていて、その表現力のすごい事…。
戦争で半分顔を失ったエドゥアールの感情を代弁するかのような豊かな仮面の数々。その造形が見事!煌びやかな仮面は毎日が仮面舞踏会のように見えてくる。
家出したエドゥアールをアルベールが迎えに行った時の仮面の表情の変化がめちゃくちゃ可愛かった。
エドゥアールと通訳をしてくれる少女との仲良しっぷりもとてもいい。元々エドゥアールは子どもの頃からいたずら好きだった様子。
この3人が陽気な音楽で踊るシーンが大好き!踊りもユニークで可愛いし皆の心の距離がぐぐっと近くなったシーンだと思う
また、アルベールの滑稽なキャラクターで、悲劇を喜劇で魅せてくれる。そして一人を除いて登場人物全員が愛おしい☺️
エドゥアールは陽気なように見えていつもどこか儚さを纏っている。その絶妙な演技と演出が見事だった。
ラストまで見たらその儚さの原因が分かるのだけれど。愉快でちょっと切ない夢を見ていたみたいな感覚…
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以下ネタバレあり
儚さの原因は最初からだった。
病室で殺してくれと懇願するエドゥアールに対してアルベールはそれを静止して大量のモルヒネを打った。そこから彼のモルヒネ中毒がはじまる。
エドゥアールは望まずして生かされ、自分をこの姿にした戦争や、幼い頃から抱いていた父親への復讐を決意する。
エドゥアールは最初からからアフリカに行く気などなく、お金を手に入れるのが目的ではなかったのだろう。お金を使って面を作るわ、大金を家に置いたままホテルでパーティをするわ…未来への執着が一切なかった。
いつどこに消えてもおかしくないような不安定な存在のエドゥアールだったけれど、その儚さが魅力的で惹きつけられる。
終盤の展開も来るべき時が来た、という感じで至って冷静に見れた。
その後のお父さんや少女の気持ちを考えると切ないけれど…
ラストの警官とのやりとりから、旅立ちは絵本の終わり方みたいに綺麗にまとまっていて良かった!