Mikiyoshi1986

アラジンのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

アラジン(2019年製作の映画)
3.0
アニメ版珠玉の名シーンは月夜のマジックカーペットライドでしたが、
実写版だと調子に乗っちゃったアラディンがジーニーに窘められるシーンに一番グッとくる。

ここでの精霊ジーニーは単なる騒がしいお調子者ではなく、もはや主従関係すらも越えた人情深き相棒として、
つまりはロビン・ウィリアムズではなく、しっかりウィル・スミスならではのキャラクターとして活かされていました。

ガイ・リッチー監督は拳に力を込めてとにかく全力で突っ走るストイックな作風という印象がありますが、
やはり観客に情緒や考える隙をあまり与えず、緩急無く駒を進める演出はもはや彼の持ち味なのだと云えなくもないです。

ジャファーとジャズミンが『ジェダイの帰還』のジャバザハットとレイア姫みたくなる奴隷シーンは実写再現されてなくて少し寂しかったり。

しかし性差別、人種差別、身分や貧富の格差にNOを突き付けるサブテーマは、ANTI RACISMの光と世界が直面している"今"にピンポイントで共鳴しています。
因習や抑圧に立ち向かう自立した女性、プリンセス・ジャズミンの描かれ方も革新的で素晴らしい。
ただその反動からか、アラディンの抱えるオリジナルテーマは幾分か影が薄まってしまった印象です。

あとジャファーの憎たらしさに圧倒的な物足りなさを感じ、心のどこかで『バーフバリ』級のヴィランを求めている自分がいました。

MVPはマジックカーペット!
あれ?絨毯ってこんなに愛くるしかったっけ?と思うくらい一挙一動が可愛くて仕方ない。
お猿さんアブーのでしゃばりすらも邪魔に感じるほどです。

『ムーラン』の実写は予告編を観る限りチャン・イーモウ作品っぽい雰囲気になりそうですが、どうか間違ってショウ・ブラザーズ寄りの作風になっていることを期待するばかりです。
Mikiyoshi1986

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