まめまめちゃん

記者たち~衝撃と畏怖の真実~のまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
映画『バイス』のラストでチェイニー副大統領が、「テロを起こすかもしれない組織がテロを起こすまで黙って見てろっての?」的なキレ方をしている。
疑わしきは罰せよ、なんとなーく怪しいから潰しとこ精神が2003年のイラクへの侵攻に無理くり発揮された事実は後に報道され世界中が知ることとなる。
本作は小さな新聞社が末端の方々からコツコツと取材を重ね、戦争への陰謀を国民に周知させ、戦争による犠牲者を減らそう止めようと動く実話ベースの物語。

戦争に勝利したということは決してひとりの犠牲者も出なかったということではない。

高いお金を払って軍を派遣し、犠牲者には目を瞑り、勝利宣言をした後の内戦の処理に時間とお金を費やすことがわかっていても、侵攻しなくてはならなかった訳が冒頭に書いたチェイニー氏の言葉に表れている。テロで無抵抗の者たちが無差別に殺された事実への怒りは尤もなのだけど、事実を見極めた上での判断ではダメだったのか。

エンドロール最後の「武器はひとつもみつからなかった」の衝撃はすごい。
真実が何なのか見誤らないようにしなくては生きていくことさえ難しい情勢なのである。