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小さな恋のうたのランドムRのレビュー・感想・評価

小さな恋のうた(2019年製作の映画)
3.4
東京でのプロデビューが決まっていた、沖縄でバンド活動をする高校生たちが、そのデビューに向けて気持ちが高まっていた。しかし、ある出来事をきっかけに結束が崩れて、デビューが暗礁に乗り上げる。発見と出会いから、目的を新たにし、結束を取り戻し、活動を再開しようとする。

ゴールデンウィークに沖縄に遊びに行ってきたので、なんとなく目に止まり、見始めました。この映画の肝は、沖縄が置かれている特殊な状況の中で、当人たちはいたって普通の日常を生きており、その不安定さに高校生たちが気づいていくところなのだと思いました。そういう意味で、後半は単なる高校生が夢を叶えるサクセスストーリー路線から少し外れて来るので、面白みがグッと増しました。

一方で、個人的にモヤっとするところもありました。主人公たちの背景や関係性の描写が前半にあまりなく、キャラの浅い高校生たちがプロデビューに浮かれ沈んでいるように見え、なかなか前半に面白さを感じられなかった点です。

もう一つは、周りの大人たちがあまりにも管理主義で目的がなく、現実離れしているかなと感じたところです。例えば、高校が舞台であれば、先生は生徒の進学や就職を
優先した発言として「バンドをするよりか、勉強して家業を支えることを目指さないのか」と生徒を諭すのが筋だと思うが、ただただ不良学生を抑圧するがごとく、一方的に否定する存在として描かれていました。そういう大人像は少し古いかなと感じました。

とはいえ、沖縄の穏やかな空気感や国際性、文化(御嶽でのお祈りなど)、政治といった独特な要素も散りばめられた映画ではあり、沖縄旅行の余韻に浸るにはちょうど良かったです。
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