にしやん

小さな恋のうたのにしやんのレビュー・感想・評価

小さな恋のうた(2019年製作の映画)
3.3
モンパチの有名曲のインスパイアもんや。最近やと歌手はちゃうけど「恋唄」何かがその手のジャンルやな。
はっきり言うてこの映画、山田杏奈のキャスティングで成立してるわ。まずこの役者さんのキャラとして、絶対バンドなんかやる感じ全くせえへんもん。ある意味対極とちゃう?そのコがやな、ある事情でバンド演ることになんねんけど、果たしてこのコにバンドとか出来んのやろか?、モンパチのギターとか弾けんのやろか?という興味っちゅうんか、心配っちゅうんもんを観てるもんに抱かせることで、この映画は観客を後半まで引っ張っていってる気ぃがすんねんな。その辺は製作側も分かってると思うわ。練習で弾いてるとことか殆ど観せてへんかったしな。それにこのコ演技上手いし、妙に存在感ある。後半は完全に主役になっとったな。
せやけど残念なんは、映画のウリであるはずの沖縄基地問題の絡め方の、その雑さや。中途半端かつ適当に沖縄基地問題絡めることで映画の質を思いっきり下げてるわ。「小さな恋」を「基地の内と外のフェンス越しの恋」ってことにしたかったんやろけど、これがまずちょっと疑問や。アメリカの軍人もその家族も普通に基地の外に出らるし。基地の外で普通に会うたらええだけやん。そら米軍人が凶悪事件起こしたら、外出禁止令出るけど、今回はバンドのメンバーへの交通事故が原因でデモとか起きたんやろ?事故前は問題ないんとちゃうん?時系列おかしいで。
それよりもっと酷いんは、何か左翼がうるさいからとか、暴れてるとかで二人がフェンス越しにしか会われへんみたいにも観えるとこや。これって印象操作ちゃう?そやから言うてるやん。普通に外で会うたらええねんて。
後バンドのメンバーの家の生業をわざわざ基地依存にしてるとことかもどうなんやろ。30年くらい前から沖縄経済の基地依存比率はたったの5、6%。確かに1950年代までは50%くらい占めてたみたいやけど、そんなん大昔の話やろ。バンドのメンバーの三人の内二人の家の生業が基地に依存にするっちゅうは、これも明らかに印象操作のような感じするわ。基地反対の意見もあるけど、基地がないと困る人等もおるんやってか。何年前の話しとんのや。
オスプレイとか辺野古の問題とかで県民の米軍基地に対する反発が強まっていることを背景に、話しのベースを「フェンス越しのロミオとジュリエット」っちゅうことにしたかったんやろけど、ちょっと無理あんのとちゃうかな。やりたいことは分からんではないけど、もうちょっとそのへんちゃんと考えて欲しかったわ。楽曲はええし、役者さんも皆んな熱演してるだけに、何かもったいないな。残念やわ。
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