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ヴァンサンへの手紙のmiyuki101010のレビュー・感想・評価

ヴァンサンへの手紙(2015年製作の映画)
4.0
渋谷のUPLINKで観てきました。

原題は「私はろう者の目を持って君の方へと進むだろう」って感じでしょうか
「ヴァンサンへの手紙」という邦題だけど、彼がなぜ・どのように命を絶ったかということにはほとんど触れられません。
(この短い邦題を考えた翻訳者の方、すごいですね…!)

手話や聴覚に障がいがある方、彼らのコミュニティについて自分は何も知らなかったんだなと、この映画を観て始めて気づきました。
気づかないくらい知らなかったのです。

もし自分に将来子供が生まれて、その子が耳が聴こえなかったら?
耳の聞こえない方と知り合う機会があったら?
自分はどうするんだろうか。一から手話を学べるんだろうか?
いろんなことを考えて観ました。

なんとなく、フランスはこういう事案についても先進的なイメージがあったけれど
全然そんなことはなくて、まだまだ発展途上な驚きました。
フランスでこれじゃあ、日本はもっと大変だとうなと…

「目を見ないと手話は通じない」
「こんなに表現豊かな言語があるかしら」

この2つのセリフがすごく印象に残っています。

映画のフライヤーにも大きく映っている、手話劇の俳優レベント・ベシュカルデシュさん。
彼の動きがとても美しくて、繊細で、どこか儚くて、とてつもなく芸術的で…とりこになってしまいました。

ステファヌさんの、お子さんへの3匹のこぶたの読み聞かせもとってもすてきでした。
読み聞かせというよりも、ダイナミックな劇を観ているかのよう。

手話は3次元の言語と言われているそうです
こんなに表現力豊かで美しいものだということに、今まで気づく機会がなかったんですよね。
子供のころから触れる機会があったらいいのに。これからの社会に変化があることを期待したいですが、まずは自分がこの機会に思ったことを発信していくことから始めなきゃなと思います。

いろいろなことに気づき、考えるきっかけをくれたレティシア・カートン監督、ヴァンサンさんに感謝です。
一人でも多くの方に観てほしい。
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