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魂のゆくえのmajiziのレビュー・感想・評価

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
3.5
神の意志への問いかけ。
普遍的なテーマにアメリカの無意味な戦争、環境問題を盛り込んで主人公トラー牧師の苦悩を描く。

画角は小さめでオープニングのクレジットのフォントなど、どこか古さを感じさせる作り。

暗くて陰鬱とした雰囲気で全体的に面白みはなく、見どころは主人公を演じるイーサン・ホークの演技のみ。

トラー牧師は自分の人生に絶望していて、人の相談にのってもドツボにはまるし、病気が発覚してもお酒はやめられなく、教会の後ろ盾が環境破壊に関わる企業であるという事実にひどく動揺し、どんどん病んでいきます。

そしてとうとう破滅的行為に走ることを決意する。

おーい、思春期の中学生ですか?っと突っ込みたくなる世間知らずなピュアさです。


カルヴァン主義における予定説など、宗教と現実との矛盾。

しかし教えとしては人間の善し悪しの判断で、神のなさることを考えてはいけないのです。

自分に都合が良ければ神へ感謝し、悪ければ存在や意思を疑ってしまうなんて…

そしてそんな悩める子羊、人間の愚かさがトラー牧師に集約されているとしたら、そこにも救済はあるということでしょうか。

ファンタジーでの着地は、良くも悪くもアメリカ的で少し惜しいと感じました。
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