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孤狼の血 LEVEL2のradioradio526のレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.0
「口答えしよんは全員ブタ箱に叩き込んじゃる!」

「孤狼の血 LEVEL2」鑑賞。

広島の架空都市を舞台に警察とやくざの攻防を過激に描いて評判を呼んだ「孤狼の血」の続編。 前作では新米刑事であった日岡(松坂桃李)を主人公に、3年後の呉原市で物語が展開する。
3年前、抗争に巻き込まれて殺害されたマル暴刑事・大上の後を継ぎ、裏社会を治める日岡。警察権力を使いやくざ間をまとめる日岡に立ちはだかったのは出所してきた上林組組長・上林(鈴木亮平)だった。

日本の映画史において一大潮流をなしたジャンルとして「東映やくざもの」がある。
名画・名作という括りにはならないが、多くの観客を魅了して、今尚一部に熱狂的なファンが存在している。
背景としては戦後~昭和の喧騒期ということが前提であり、令和の今では存在も許されないひとつの裏文化がテーマだった。
折しも今年は「ヤクザと家族」「すばらしき世界」と、やくざをテーマにした作品が高い評価を得ている。
どちらも暴対法前後の凋落していく様を描いているが、滅びゆく裏文化は何故か強い物語性を帯びてくる。
「孤狼の血」は昭和から平成にかけてのギリギリのタイミングを背景にしているが、描かれているのは、すわ昭和全盛期を思わせるゴリゴリの武闘派ものだ。
更に広島という、やくざものの本場(誤解もあるかと思うが一般的に)をもってきて最後の〆に「実録感」で整えている。
やくざものの型としての「実録感」を愚直にやることによって過去の作品へのオマージュが完璧に成立する。
忘れかけた裏文化に対して本気かつ正攻法での表現が「孤狼の血」だと思う。

日岡を演じた松坂桃李はもうハズレ無しだ。前作の頼りない新人から太々しいまでの悪漢ぶり…そしてエンディングにはもうひとつの顔を見せてくれる。
そして悪漢でいうなら、上林を演じた鈴木亮平のイカレっぷりがえげつない。
「誰かこいつを止めてくれ」と思うくらいの徹底的な悪…さすがだ。

PART2ではなく、LEVEL2であることの意味…続編じゃなく1ランク上と言い切った白石監督に拍手を送りたい。
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