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スマホを落としただけなのにのTSのレビュー・感想・評価

3.6
【スマホに振り回される現代人】76点
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監督:中田秀夫
製作国:日本
ジャンル:サスペンス
収録時間:116分
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2018年劇場鑑賞98本目。
評価は低めですが、自分は結構楽しめました。というか大衆ウケは結構良い作品なのではと思いました。宣伝効果もばっちりでしたしなによりも予告編がうまかった。逆にいうと予告詐欺みたいな箇所もあり、ややがっかりした点もありましたが、友達やカップルと週末見に行くのならばうってつけのエンターテイメント作品だと感じました。粗はあるものの単純に面白かったです。

稲葉麻美と順風満帆な関係を築いていた営業マンの富田誠はある日タクシーの中にスマホを置き忘れてしまう。そして稲葉のスマホにとある電話がくるのだが。。

犯人が誰であるのかという推測はまずまず。簡単すぎず難しすぎず、程よい推測で当てることが出来るからまた面白い。10年前では作るのが難しかった映画の一つといえ、インターネットに包まれた現代のサイバー社会の問題点を指摘している作品でもあります。いまやほとんどの人が所持しているスマートフォン。朝の通勤でも、いまでも僕はスマホを使いこれを打っていますがほとんどの人はスマホを電車の中でも使用しています。スマホがなくなったら何もできないんじゃないかというくらいスマホに依存しています。思えば最近写真の現像ってしなくなりましたね。これはスマホの写真の解像度があがりすぎてかつすぐさま見れるので現像する意味が薄くなったからでしょう。個人的には現像は好きだったのに確かに最近していないという歯がゆい現象が起きています。転じて現代の世界はネット世界であり、このネットが何らかの理由で使えなくなり、データが失われてしまえばこの21世紀の文化ってほとんど継承されないのではないかとも思えてしまいます。

それはさておき、今作はタイトルが示してる通り、スマホを落としただけでとんでもなく悪質な悪戯をされ続けてしまうという話。特にSNSの乗っ取りは非常に恐ろしく、自分の知らない間に自分の情報があげられ、しかもそれがでっち上げという場合も結構あります。勝手に自分の像が作り出され批判が集中する。末恐ろしい状況が簡単に作られてしまいます。今作の犯人は狂気の沙汰であり、それを演じたあの人も今年の邦画ではナンバーワンクラスの怪演ぶりを披露してくれています。ここまで狂った人はそうそういないので、これは稀中の稀ケースですが、インターネットに精通してかつ悪事を働くものにスマホを盗まれると非常に厄介なことになりそうです。

さすがにあのオチには気づけませんでしたが、伏線はまだ容易に解読できるレベル。その分もっとドロドロにやればさらに面白かったのにと思いましたが、あまねくたくさんの人々に見てもらうのならばこれくらいで良かったのかもしれません。ただ、予告詐欺が結構ありがっかりでした。例えば予告編で割と印象的だったバカリズムの不敵な笑みは、なんてことなくただの会話における笑いなのです。意味深な映し方をしておいて本編では何の意味もないシーンだったというのは非常にがっかりであり、逆にいうとうまい。してやられたという感じですね。他にもありますがそれは鑑賞者に委ねたいと思います。また、せっかくスマホという現代の産物を扱っているのですから、作者自体がスマホに関してどう捉えてるのかを作品に含めさせても良かったのではと思いました。ラストの犯人がスマホの存在意義について確信的なことを言いそうでしたが中途半端でしたのでやや残念でした。ともあれみなさん、スマホは絶対に落とさないようにしましょう。
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