えむ

ビューティフル・ボーイのえむのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.7
結婚式の時に病める時も健やかなる時も、とあるけれど、父と息子の間には、女性には計り知れない特別な絆があるように思う。

自慢の息子、ビューティフルボーイが跡形もなく違う生き物のように壊れていく、救いたいのにままならず、為す術なのない父親の苦悩、父を愛しているし、愛されているのもわかっているけれど、コントロールできない、期待に応えられない、絶望させていることにまた絶望していく息子。
どちらにも愛があるから見ていて苦しい。
愛だけでは救えないけれど、愛がなくても救えない。

身体と気持ちが引っ張りあって奈落にも落ちるし、引き上げる時にも、気持ちと身体が共に引き上がらないと回復しない。
そのためには、愛はどうしても必要なのだ。


ドキュメンタリーが原作だそうだけど、アメリカに置いては、本当に身近なところに転がって居るんだろうな。
身近だから、きっと誰にでも起こりうること。
何も映像のために、特別に誇張された物語でもないのだろう。

シャラメの、心と共に彷徨い、行き来する表情、スティーブ・カレルの愛故に苦悩し、喜び、絶望する父親の姿が、どちらもとても素晴らしいと思う。
えむ

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