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ビューティフル・ボーイの821のレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.6
幸運なことにもFilmarks試写会に当選したので、一足先に鑑賞してきました。

ドラッグを中心に組み立てられている映画かと思いきや、この映画の1番のテーマは父と息子の絆と愛情。
スティーブカレル演じる思いやりと愛情に満ち溢れた父親、そしてティモシーの演じる、真面目で素直で家族想いで、でも愛情に飢えているのか、ドラッグやストリート、そして父親に救いの手を求めている息子の姿が、現在と重なる過去の記憶と層になって儚くも丁寧に描写されていた。

ドラッグに溺れていく過程を描いたり、若者がドラッグにアクセスしやすい環境、といった問題を提起している社会派な作品ではなく、ドラッグに溺れてしまった息子と父親、という一家族のストーリー。
既存の枠に捉われない、どう転ぶかわからない展開で、絶えず新鮮な気持ちで鑑賞することができた。

劇中、リカバリーセンターにこのようなポスターが貼られていた。「The Three Cs: I didn’t cause it. I can’t control it. I can’t cure it.」この作品ではこの3つのCが徹底して描かれていたと思う。

なんといってもスティーブカレルとティモシーの演技が繊細で素晴らしすぎて、特にティモシーは「CMBYN」で築いたややアイドル的なポジションを打破するくらいの「演技派」であることを確立させたと思う。次の俳優として確実に、次のステージで花開いている。

重苦しいストーリーですが、それでも明るい方向に進もうと歩みを進める、ニック含む一家の姿とデイブの「救いの手を差し伸べる」以上に勇気のいる大きな決断に心打たれると思います。劇場では所々すすり泣きも聞こえてきました。ドラッグアディクションは決して全く美しいものではありませんが、家族の絆と、(視覚的でなく内面的な)「美しさ」を取り戻そうとするニックが、美しい映画でした。

あと!!ニックの子役!!!ティモシーに瓜二つすぎて、鑑賞中声上げそうになったわ。あの子見るだけでも価値がある 笑

2019 劇場: 10
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