純

ビューティフル・ボーイの純のレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
4.3
最後に電話をかけたとき、すれ違えることさえ恋しく思えた。幸福はいつもするりと逃げていく。だけど、期待してしまうのは間違いじゃないと言ってほしい。信じさせてくれるのは、信じたいと願うのは、愛があるからだと証明してよ。すべてを超える愛が、そうさせるのだと僕の目を見て言ってほしい。声が聞きたい。

戻りたくない場所に戻ってしまう苦しさを、僕たちは何度味わえば手放せるんだろうか。赦されたい。根拠もなく理由もなく、愛されて、涙されて、生きていることを喜んでもらいたい。僕にはその価値があると、あなたにだけは言ってほしいと思う。

すべてを超えて愛してる、という思いが、抱きしめられる体温のつながりを特別にする。すべてを超えてうつくしい絆が、どんなに傷んでも切れることのない絆の糸が、透明な未来を織りなしている。すべてとは、感情も、過去も、関係性も、ほんとうにすべてを超えたゆるぎないもの。うつくしさ。きみ。
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