アーリー

愛がなんだのアーリーのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
3.5
2023.6.1

初の今泉力哉。NCWの先輩。

好きな男に尽くしてしまう女性が主人公。彼からの連絡を一日中気にしてて、呼ばれたらすぐに飛んでいってしまう。頼まれてもないのにご飯を作ってあげたり、タンスの中を整理してあげたり、床の掃除だってしてしまう。流石にやりすぎ。都合が良すぎるのも考えもんやねんな。

女の子が男に振り回されて傷つく話かと思いきや、男は男で違う女の子に尽くしてる。隣を見ればまた別の男が女の子に尽くしてて、その女の子はわかりながら都合よく利用する。尽くされてる女の子は友達に尽くされてる男を批判し、憎んでるはずの父親と同じことをしてる。尽くしていることを達観して、これでいいんだと自分を納得させる男。みんなの恋愛が全部一方通行。人にされるのも、人がされてるのも嫌なのに、自分がするのは気にならない。人に指摘されて考えがコロコロ変わって、ある人からはよく変わったと賞賛され、ある人からは逃げだと非難される。
そのすっきりしない感じがすごい気持ち悪い。こいつらは何をやってて、何を言ってるんやろう。一ミリも共感出来ない。でもそれは主人公の同僚が言ってたように、自分がこれまで本当に人を好きになったことがないからかもしれない。好きな人ができて、その人しか考えられない。その人が喜ぶならなんだってしてあげたい。そう思うのは悪いことなのか。仕事を辞めたっていいやん。それぐらい好きなんやから仕方ない。そんなことが出来るのはもはや才能。愛が深い人。共感は本当に全くできないけど、そういう人がおってもまぁいいかって思う。
本当に怖いのは自分がそうなってしまうこと。その時こんなにラフな気持ちで今作を観れるかな。周りの人間の言葉に耳をかせるかな。確かなことなんて何もない。

岸井ゆきの、江口のりこ、若葉竜也の演技がすごい。特に若葉竜也。醸し出す雰囲気と顔とセリフと声音がめちゃくちゃキャラにハマってる。
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