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THE GUILTY/ギルティのKKのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
4.2
初めての体験だった。似た作品は見たことがあったけど、ここまで全シーンが片側しか映さない作品名は初めてだった。
音だけで感じる世界

音しかないからこそ、行ったその音に全神経を費やせる。相手の状況、パトカーのドアを開ける音、歩く音、暗闇の中で何かを探す音、音だけで電話の向こうで何が起こっているか鮮明にイメージ出来る。
また、声から得られる情報もとても多い。恐怖、怒り、焦り、混乱、悲しみ。喋る内容以外からも多くの情報を想像することが出来る。

しかし、そこから紡ぎ出される真実が正しいとは限らない。







〜以下ネタバレ含む〜



アスガーの人物像
・現場で何かをやらかした警察官
・正義感は強いが自分1人で何とかしようとする自己中男
・正義感が強いが故に感情的になりやすく、周りが見えなくなり突っ走る性格


「あの時こうしていれば」があるとしたら、未来は変わっていたのか。
1.イーベンからの電話をアスガー以外の人が取っていたら。

2.アスガーが元の相棒に連絡を取ってミケルの家の捜索を頼まなかったら。

3.アスガーが勤務時間を終えて、他の人に任せて業務を終わらしていたら。

4.ミケルの話をちゃんと聞いていれば



ターニングポイントとなりそうな場面はいくつかあった。じゃあ、これらの場面で、「もしも」があったらどうなっていたんだろう。

アスガーが電話を取ったそのときには、弟は殺されており、ミケルとイーベンは病院に向かっていた。

もしも、アスガーが何もしなかった若しくは出来なかった場合には、2人は病院に着き、収容されて、終わりだった。

アスガーが介入したことによって変わった事は、
・マチルデに弟の死体を見せつけた
・イーベンにミケルを殴らせた
・イーベンの自殺を止めた
・イーベンに自分のやったことを分からせた
・自らのギルティに向き合った

アスガーがいてもいなくても、イーベンが保護されるという結果は変わらなかったと思う。
変わった事実は、アスガーが自分の罪に向き合ったこと。
あの時ああすればよかった。もしこうしていれば。っていうたらればを外から言うのは簡単だけど、その時、その場所で、その状況で選んだ選択が正しいかなんて誰にも分からない。いつでも正しい選択ができる人なんて存在しない。



ラストについて
まず、すぐ思ったのは、相棒に電話したんだと思った。元は、早く現場に戻りたくて、裁判で偽証しても戻ろうとしていた。しかし、イーベンを救おうとする中で自らの罪に向き合おうとした結果、相棒に電話して、真実を話そうと決めた電話だったと思った。

しかし、後から考えると他の可能性もあるのでは、、、

局長説・・・無くはないがそんなに面白くない気がする。何を話すんだ?
妻・・・妻だったら結構面白い。ほとんど関係性も明らかになってない中で、何かを伝えることで関係性が変わるのか?

記者・・・さらに面白いな。序盤に電話をかけてきた記者に告白するとしたら伏線回収がすごい。


よく良く考えれば、詰めが甘いところもあるのかもしれないけど、自分は完全に騙されたし、電話だけという緊迫感に圧倒された。
最も鮮明にイメージが浮かんだのは、マチルデが血だらけで立っている姿。声だけであんなにリアルなイメージができるって凄い。

ミステリーなのかサスペンスなのかわからない状態で見た方がより楽しめる。
KK

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