いつものWOWOW番組「W座からの招待状」からの一作。
またまた映画の可能性を感じた作品だった。今回はデンマークの映画。
コペンハーゲン警察の緊急コールセンター(日本でいう110番)でのある出来事を描く。
映像として出演するのは、電話を受ける主役のほぼ一人のみ。その他の助演者は全て電話の先の声だけでの出演。場面もコールセンターのみのワンシチュエーションで、時間の流れもほぼ同じ90分。音楽もなし。
映画のほぼ9割が主人公と誰かとの電話会話のみで進行する。これでどうやってドラマを作るのかと訝しながら観始めたのだが、全くの杞憂だった。
相手が声だけ、、この制約条件が真実を不透明にすることで、逆に観ている我々の想像は膨らみ、秀逸な脚本の力もあって、興味深くこの会話を聴き入ってしまうことに。
この不透明さを利用したドンデン返しも効いていて、主人公と我々が同じ境遇のなかで翻弄される。
結果として、この出来事が主人公の実人生ともリンクし、彼の人生を左右していく。
断片的な情報のみで、判断したり、行動したりすることの危うさを訴えるメッセージにも普遍性を感じる。
前回の『リモ止め』も素晴らしかったが、本作のアイディアにも驚かされた。
映画はやっぱり奥が深く多様で面白い!