打ち上げパーティー中に22人のダンサーが薬物入りの酒を飲んだ事から始まる地獄絵図を描いたギャスパー・ノエ監督作品
96分という短尺でありながら、鑑賞後に襲う疲労感が凄まじいエネルギッシュな作品
物語は雪の中を血だらけで彷徨う女性を俯瞰から捉えたショットから始まり、その後唐突に流れ始めるクレジットに困惑させられる
途中再生してしまったかと錯覚する編集に戸惑っていると、今度は事件に関与する22人のオーディションテープが流れ始めます
ここで登場人物の情報が大まかに把握が出来るようになっており、人物描写にかける時間を短縮しているのは観る側として有難い
テープが終わると事件当日へと場面は移り、人物間の関係性を見せるための会話劇が繰り広げられていきます(ノエ監督は、演者のほとんどが演技経験のないプロダンサーであるが為に、前半の会話劇を即興にしたと語っています)
やがて各々に異変が起き始め、不均衡で不快なトリップ劇が幕を開け、正常な判断を失った状態の恐ろしさが、監督の手腕によって見事に表現された嫌な感じの映像が長々と繰り広げられていきます
観ていて酔いそうになる不安定なカメラワークも効果的に使われ、面白い映像体験ができる作品になっていました
観た後は、「酒は飲んでも呑まれるな」という言葉が一層沁みるようになると思います