ShojiIkura

ロケットマンのShojiIkuraのネタバレレビュー・内容・結末

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

レジェンド・ミュージシャンの伝記映画は「ボヘミアン〜」以前にも沢山ある。(今回のようなミュージカル仕立ては珍しい)その多くは、子どもの頃の不遇を描いている。だが、エルトンの子どもの頃から現代に至る家族とのエピソードは本当に辛いものばかり。フレディは最後にチャリティーであるライブ・エイドに出たことで厳格な父から認められるが、エルトンはどんなに成功して多くの人が誉め叩いても、父も母も全く評価せず、父は決してエルトンにはしなかったハグを今の義弟にして見せつけ、母に至っては金をせびり、父との不仲をエルトンのせいにしてエルトンを生んだことを悔いる‥これはキツイ。さらにそんな孤独なエルトンに性的魅力を餌に金を稼がせて利益をむさぼるゲスなマネージャーが、彼を追い込む。自分を保とうと必死になるがゆえ、ドラッグを酒で流し込み、道化となって客の前に立つ。口にするのはバーニーが代弁しエルトンのその時々の感覚をメロディーに変換する、エルトンの化身たる曲!あの楽しくて優しいエルトンの曲が彼の苦悩を形を変えて表したものだと知って、かなり切ない気持ちになった。だからこそ、彼に詩を提供し、彼に救いの言葉を投げ掛けていたバーニーの存在が素敵だなと感じた。今、エルトンが子育てのためにツアーを休もうとしているのも、ずつと以前からバーニーが提案していたことを受け入れたのだな、と思った。

比べるなら「ボヘミアン〜」ではなく、「グレイテスト・ショーマン」ではないか?豪快さはないが、心に染みる感動がある。
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