k

ロケットマンのkのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
5.0
その音楽で感情が踊る。
世界に魔法をかけるスターでも、孤独との戦いに苦しむ姿は、私と重なる。
初めて鍵盤に触れたときのように…エルトン・ジョン、あなたを感じることが出来ました。

何度も何度も、鏡に映る自分と向き合ったエルトンだからこそ、傷つく度に涙を流す彼だからこそ、かつてない強さで全てを乗り越えて輝く姿に説得力がある。

パジャマで生み出したyour songは、愛を求めて傷ついた心を癒す。
裸の自分に、音楽が寄り添う。

それでも。

素直になれない自分を振り払うように、軽快な足取りで観客の海に身を投げ出す姿は、あまりにも悲しかった。
鎧のようにド派手な衣装。輝きすぎて、そばにある温かい愛が・言葉が、消されてしまう。
ピュアすぎた。少年のまま世界に求められた。素直すぎた。気がつけば、傷が治りそうにないよ。

"自分を騙し、嘘をつき、自分がやったことを隠そうとする。でもそうすると、自分のことが嫌いになるんだ。自分でも理解できない自分になってしまうから。"

パンフレットのインタビューでのエルトン・ジョンご本人の言葉。

自分を救えるのは自分しかいない。

ミュージカルとファンタジーでドラマティックに仕上げられていたけど、リアルさをすごく大切にした繊細な作品だった。
誠実な映画に出逢えたこと、本当に幸せです。
k

k