ソラアユム

キングダムのソラアユムのレビュー・感想・評価

キングダム(2019年製作の映画)
3.8
無名の少年


後に始皇帝となる大王政と下僕の少年信が中華統一と天下の大将軍を目指す様を描く史劇アクション

予想以上に面白かった。
原作の大ファンなので、大贔屓しているのは承知の上ですが、邦画にしては…というエクスキューズ抜きに中々大健闘した意欲作なのではないかと。

ストーリーは、ラストバトル以外原作にかなり忠実。特に原作の第1話(神回)をじっくりと描いた事でキャラクターの土台をしっかり作る事が出来たのではないかと思います。票の「俺を天下に連れていってくれ…」はやっぱり心震えますね。陽端和の説得シーンもテンポが良くて間の取り方だったりが非常に上手いなと感じましたし、オリジナルギャグも上手くハマっていたと思います。

一番の懸念材料だったスケールとアクションも及第点ではないかと。特にキングダムの実写化を実現するにあたり、最大の障壁は、中華という広大な景色と数万の兵士の行軍など、圧倒的なスケールで描いた世界観を再現できるか否かという所だった筈。これは、中国での海外撮影を敢行した事が大きいとは思いますが、キングダムの世界観を申し分なく描けていたと思います。

アクションもある程度は良かったかなと。
剣劇は全部見応えがありましたし、原作でもファンタジックな山の民の動きをもろワイヤーアクションで再現していたのはある意味正解なのではないでしょうか笑。ムタ戦はかなりやり過ぎなところがありましたが、サジと朱凶戦は良かったと思います。

ただ微妙な所もチラホラありまして。
キャラの再現は健闘している部類ではあるんですが、楊端和だけは長澤まさみの美貌とプロポーションをもってしても中々厳しい所があるかと思いました。
王都決戦も若干間延びを感じました。特に登場人物が台詞を吐くごとに戦いが中断される(ストーリーの停止)事が頻繁に起きていてもう少しテンポアップして欲しかったです。後は呂不韋をお話に出してきた件も描写がなくて、台詞だけで説明されるので初見の人には厳しいのではと感じました。

とはいえ、期待以上の出来である事は間違いありません。久々に原作の王弟反乱編を読み返したくなりました。54巻も買いにいかないと…