千里

斬、の千里のネタバレレビュー・内容・結末

斬、(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

塚本監督作は「野火」のみ観賞しており、ジャンル的に戦争ものに興味のない自分には「野火」はあまり合わなかったものの、塚本監督の映画的なセンスには何となく惹かれていたのと、池松さんと蒼井優さんという個人的に好きな役者さんが出演なさっているということで興味を持ち観賞。やっぱり塚本監督の作品だなーって感じのリアルで苦しい描写が光っていたと思う。

まずよくある時代劇というイメージを持って観ると、役者陣の演技なんかは大分違和感を感じる作品だと思うので、そういう概念は捨てて昔の時代を現代的に描いている作品という感覚で観た方が良いかも。上述したように最初は時代劇的なものを期待して観ていたので、池松さんや塚本監督の演技にはかなり違和感を感じてしまったのがノイズにはなった。しかし途中で見方を変えて観始めてからは大分馴染んで見えたし、役者陣の気合も凄まじかった印象。蒼井優さんは最初から馴染んで見えたのは流石と言うべきか。

殺陣もかなり気合が入っていて良かったのだけど、カメラワークだけはもうちょっと考えて撮った方が良かったのではないかと...アクションだからってちょっと揺らし過ぎで酔うし、画面のトーンも暗いので何をやってるのかよく分からなかった。

内容的には、腕が立つが故に頼りにされている浪人が実は人を斬れないトラウマを抱えており、周りで起きる悲劇やある男との出会いを通して、最終的にそれを克服して旅立てるようになるというもの。ハッピーエンドとも取れる良い話のはずなんだけど、やはり監督色が強くて悲劇や悲しさなんかが全面に出ている終わり方なのが面白いところ。
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