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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのnagaoKAshunPEiのレビュー・感想・評価

4.0
「手紙」というのは人と人とを繋ぐコミュニケーションツールのひとつであると同時に、絵画やアニメーションと同じように書き手が存在する一種の「作品」なのだと思った。
自らの心の内をしたためられた手紙は、文体や筆跡を通して、時として口から発せられる言葉よりも雄弁にものを語る。なぜ手紙というものに特別な思いを馳せるのか。それは、ペンを手に、紙を前にその手紙に向かった書き手の時間が見えてくるからだろう。
そんな手紙も作中では新たなコミュニケーションツール(電話)にその役割を取って変わられようとしている。
だが決して電話が貶められるわけでもなく電話の持つ遠隔で人を繋ぐツールとしての即時性を描きながら、手紙には想いが閉じ込められた物質として残るという良い面が語られた。それは、受取手と作品(手紙)の中間者である書き手ひいてはアニメーターたちの想いを汲んでのものだろう。さらには未来に物語を紡ぎ続けるという意味が込め、故人に向けた「指切り」のようにも思える。マスクが濡れて冷たい2時間20分でした。
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