ねむ

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのねむのレビュー・感想・評価

4.0
43)言葉って、感情とか状態とか物理的に捕まえられないものを可視化する入れ物だと思っていた。

この物語の中でヴァイオレットは人の気持ちや愛を理解出来ないというが、じゃあ果たして私が認識している愛とは他の人の思うそれと全く同じと言えるのか。
この複雑なものをよくこの一文字に捕まえようとしたものだな、と改めて思う。
私は(無意識にも)それを知っている側に立ったつもりで観始めて、実は表面的なことを撫でてただけだと気付かされる。
ずっと傍にいることだけが正解ではないから苦しい。
離れることや伝わらないのに思い続けることが愛していないことにはならないもんだから悲しいのだな。
彼女の心がぐいぐい成長しているのを感じた。

自分を一途に求めてくれる存在って心を満たしてくれると同時に途方もなく苦しめてくる。
色んな人が大切な人を目の前にしてどうしてもさらけ出せない心が手紙と一緒に時間差で届くのやっぱ良いな。
でも時代は移り変わって異なる方法で救われることもある。
ユリスに昔の友達を投影してしまい泣きすぎてまだ頭が痛い。

ラストの長いシーン、すごく丁寧で驚いた。
自分の気持ちを言葉にし過ぎでは?と思った部分もあったけど、よくよく考えたらさらけ出す時はきれいにもカッコよくもいられないよな。
こういう場面でリアルでもスッと体温下がる自分のルーツに迫りたい。

登場人物がみんなそれぞれ誰かを大切に思いながら生きているから、現実でも目の前にいる人全てにそういう大事な思い出はあるんだろうなとあのおじいさんのセリフを思い出しながら考える。


追記
替えのマスクとハンカチ持参した方がいいかも。
ねむ

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