にしやん

僕はイエス様が嫌いのにしやんのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
3.0
小さな雪国の田舎に引っ越してきた小学生の男の子が初めて出会った信仰とその戸惑いを描いた作品や。「神様はほんまにおるんか?」「お祈りって何のためにすんのか?」っちゅう、大人でもちゃんと答えられへん疑問について、小学生の目線で描いとる。この映画ではキリスト教を題材にしとうけど、別にキリスト教に限った話でなく、日本人が全般的に宗教に抱く素朴な問題やったり、違和感かもしれへんな。別に信心がないとか、宗教を否定しようとかそんなことや無しに。人間の日常のちょつとしたいいことやあかんことについては神さんや仏さんのお陰とか、お祈りや拝みが足らんかったってことで受け入れられるんやけど、自分や周りにとてつもない深刻な不幸が降り掛かった際には、神も仏も無いと感じてまうもんな。「神の不在」「神の沈黙」っちゅうテーマは昔から色んな人が取り組んでる問題で、わしも遠藤周作の小説で散々読んだわ。
この映画の優れたとこは、人が「信仰」を受け入れるていくということ、重大な不幸や災難に見舞われた際に誰しもが感じる「神の沈黙」という非常に重いテーマを、非常にシンプルかつ鮮烈に描いけてるっちゅうことやな。マーティン・スコセッシなんかがあんだけ時間と金掛けて重厚に描いたもんを、子供目線でひょいっと軽々と超えてしもたとこかな。多くの映画関係者が「やられた!」「その手があったか!」って悔しがったかもしれんな。
ストーリーはいたってシンプル。プロットがしっかりしてるっちゅう典型やろな。日本人の宗教観みたいなもんも簡潔にズバリと描けてる。ハッとするシーンもいくつかあった。エンタメ要素もちゃんと盛り込まれてるし。台詞も無駄なし、足らんとこなく、ごくごく自然。
海外で評価されてるんもよう分かる。キリスト教圏でも評価が高いんはちょっと驚きやな。キリスト教圏の人等かてひょっとしておんなじこと思てんのやろか?
でも、じゃあ、わしこの作品めっちゃ好きかって言うたらそうでもないねんな、これが。まず、是枝臭い感じがあかん。若い監督の割にはテーマ自体あんまり新しさあれへんし。はっきり言うて、もうお腹いっぱいや。それに、キリスト教式での弔辞って遺族に対してとちゃうの?それにやなそれ小学生にやらせるっていうんはないんとちゃうの?そこらへんはクライマックスありきのストーリーの粗さかな。ここ、この映画のほんまキモやさかい残念やな。
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