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隣の影のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

隣の影(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

日照権を巡る、隣人トラブルを描いた作品。

隣人トラブルに夫婦の離婚危機と、描かれるテーマ自体はありきたりなものの、そのディティールが独特かつ強烈な作品だった。
普通のポルノを見てるならまだしも、元カノとのSEXテープを見てたり、人の飼い犬を殺すだけでなく、剥製にして返したりと、意外性のある描写が面白い。
問題の木を巡る顛末も、「なるほど、そうきたか」と感心させられる。

そんなブッ飛んだ描写とは裏腹に、登場人物が抱える感情はリアルだ。
一度タガが外れれたら最後、溜まっていた不満が一気に噴き出して個人攻撃を始めたり、不信感から被害者意識に囚われてしまう。
そうした隣人との争いは現実世界だけではなく、最近ならSNSの世界でもよく見掛ける光景ではないだろうか。

本作はそんな人間の醜さや狭量さと、争いの先にある悲劇を描いていく。
この映画を“戦争映画”と評してる人を見掛けたが、だとすれば、「どうすれば戦争を回避出来たのか?」という事を考える事が、最も有意義な鑑賞体験になるのかもしれない。

本作で唯一不満なのは、母親を精神疾患のある人間として描いた事。
これでは病気のせいで、あの様な行動をしたと受け取られかねないではないか。
隣人トラブルに遭うリスクは誰しもにあるし、健康な人間でもストレスでおかしくなってしまう事もあるだろう。
だからこそ、本作を反面教師として見る事で、彼らと同じ過ちを繰り返さない様にしたいものである。
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