閑静な住宅街で暮らす2組の家族が、ささいな隣人トラブルをきっかけに暴走していくさまが描かれるブラック・サスペンスや。中年夫婦が「そっちの庭にある1本の木が、自宅のポーチに影を落としている」というクレームを老夫婦に入れたことで対立し始めるんやけど、やがて老夫婦が家族同然にかわいがってた飼い猫が失踪したことで、隣人同士は危険な 段階へとエスカレートしていくわ。
まあ、いわゆるどこにでもあるようなご近所問題やな。めっちゃ些細なことが原因で始まるんやけど、時々、それに尾ひれがついて、最終的にはとんでもなく大げさなことになってまうことがあるわな。日本で言うたら、ちょっと前の「引っ越しおばさん」もそうやな。
映画のほうやけど、隣同士の両家の心理的な駆け引きやらサスペンス的な要素が思ったよりも弱く、そこを期待して観に行った人にはちょっと物足らんかもしれんな。あと息子一家のゴタゴタについても、きっかけはご近所問題というのは共通すんねんけど、サブプロットとしてはちょっと盛り過ぎかな。全体のストーリー自体がちょっと散漫な印象になってしもたかな。
庭の「木」にしたかて、問題は「木」とちゃうもんな。日照権でもめるっていうんがいかにも北欧アイスランドらしいねんけど、「木」はあくまでもご近所問題のきっかっけであって、事態を思わぬ方向へエスカレートさせたんは、ちゃんと話し合いに応じようせえへん、犬一家の自分等さえよければええという無関心な姿勢と、猫一家の同じく自分等さえよければええということと、自分等の問題を誰かのせいにしようとする逃避的な思考や。なんか見たような聞いたような話やな。どっかの国同士に似てへんか?
この映画は心理サスペンスもんというよりも、非常に教訓的、教育的な映画やと思う。自分等のことばっかり考えていると、いつかあんた等もこないなりますよってことや。両方の一家がどんどんぶっ壊れていくとこは、「ざまあみろ」といった感じで、正直おもろかったわ。相当シニカルなブラック・コメディやからゲラゲラ笑える雰囲気やないけどな。特に犬とかな。ラストももっと派手にチェーンソーでいったれやとか非常に不謹慎なことを思いつつも、あの惨めでしょぼい最後がこいつ等にはお似合いか。
戦争は絶対にアカン。