真田ピロシキ

この世界の(さらにいくつもの)片隅にの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

1.0
ボロクソに悪口言うからね。

日本4大同調圧力映画。他はシンゴジラ、シンウルトラマン、マリオです。これのオリジナルが上映された時は戦時においてさほど大きな出来事に見舞われなかった人を描いた映画として斬新に感じたものだが、批評家が「被害者ヅラばかりして加害者意識が全くない」という確かにそうだなあと感じた指摘に関してキーキー騒ぐ客を見て疑問を覚えるようになった。庵野秀明の実写作品やマリオに見られる否定的意見、取り分け批評家の言葉を忌み嫌う風潮の先駆けはこれにあると思ってるよ。

日常系戦争アニメとして描かれる本作は大抵のことがのほほんと描かれる。それもまだこの頃なら流せてたかもしれない。しかしそれから数年経った今はどうだ。国民のことなんかガン無視して軍事費と私利私欲と統一教会のためにゴミ政府が生活を圧迫し続けてるのに、ライフハックだか生活の知恵だか知らんが粛々と不自由を受け入れてもの言う人をこそ疎んじる。すずをはじめとしたこの一家はそういう連中で否定的に描いているとは見えない。描かれてはいないが『はだしのゲン』に描かれた朝鮮人差別や隣組から弾き出された人には冷淡だっただろうよ。「声高に反戦を訴えない」だあ?ああ、そうさ。この映画は反戦を訴えるつもりなんか全くない。ゲンのようにアメリカも軍も天皇も事なかれ日本人すらも許さないという怒りもなければ、『火垂るの墓』のような平時ならそれなりに善良だったはずの人が果てしなく冷徹で利己的になる浅ましさ恐ろしさもない。現状追認の腑抜け映画。敗戦も天災が過ぎ去ったような感覚でいやがる。コイツらは反省せず何度でも同じことを繰り返す。軍国少女だった詩人の茨木のり子が青春を奪われた憤りを生涯抱き言葉を発し続けたような精神は持ち得ない。平凡さは無関心という悪の免罪符じゃない。

もっともこの映画はつい最近までは映画自体はそこまで悪いものとは思っておらず、ただ全体主義的な受け手に問題があると思っていた。だがファンミーティングで憲兵コスプレをした奴がいて、その時点で言語道断なのに監督の片渕須直は肯定したんだってさ。スゴい。日本スゴい!!ドイツの戦争映画でナチコスプレなどしたら絶対許されないのに許しちゃうんだ。そうだよね。普通の日本人様どころかネトウヨですら心地良く楽しめる戦争映画だもんね。戦争反対を唱えただけで左翼扱いできる日本人様には憲兵も"偏った人"を取り締まるだけの平凡なおじさんとして"中立視"できるから。ふざけんなボケ!片渕はネトウヨも大切なお客様だからご機嫌を損ねたくなかったのかな?次は集英社と組んでアンフェ迷惑YouTuberのシンボルとなった鬼滅の煉獄とかいう奴やまたは怨み屋本舗のアニメ化でもすればいいんじゃない?お似合いでしょ。

能年玲奈も散々干されてた末に再評価がこんな映画とは。演技は確かに良いので残念でならない。こんなものを残して『はだしのゲン』を抹殺し、『火垂るの墓』をバッシングするような風潮には逆らっていくからな。漫画持ってるけどもちろん捨てる。最低。最近日本アニメが完全嫌いになりつつある。