jonajona

目撃者のjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

目撃者(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ジャケ写見て前から見たいと思ってた韓国サスペンスをついに鑑賞。

期待通り、それ以上に面白くて最高。
評判がここまで低いとは思ってなくて軽くショックですが…笑。なんでやろ。
面白かったけどね。正直期待しすぎるとそこまでなのかもね。

ローンで新居のマンションを購入して、娘と妻と家族3人ささやかに暮らす主人公。ある日偶然マンションの敷地内で殺人事件を目撃してしまい…
というおはなし。

展開の仕方、伏線の貼り方とテーマ性への絡め方が本当に見事で、韓国映画は意外性があっても主軸を見失わないのがマジですげぇパネェ!
集合住宅の人がたくさんいるけどみんな他人事、というまぁイメージと、殺人事件を絡めて『他者と身内』というテーマをスリリングかつエンターテイメントで飲み込みやすくしてて心躍った

正直スリリングなあらすじなだけに目撃した後『そっからどういう話にするの?』って思ってたんですが、そうじゃなくて『身近に殺人事件をほんとうに、あなたが目撃したらどうしますか?』っていう方向で話を深掘りしてる所が素晴らしく感じた。
刑事さんが暑くて最高。

たまにニュースで殺人事件なんかを見た時、考えるんですが本当に窓から現場を目撃したりしてしまったら皆さんどうします?警察に言いますか?犯人に見られてなかったですか?あいつが言ったって思われるかも…大丈夫ほんと?
日本の警察なら保護してくれるはず…とも僕は全く思えないわけで。
幾らか前にストーカー被害に遭って交番に駆け込んだ女性が警官が居眠りしてて殺される事件があったり、無力とは言いませんが警察が出来ることなんてたかが知れてると思うんです。人為的ミスは警察にもありますし。
そんなことが『万が一』にも起こり得るならリスクを取らない選択として警察に情報提供しない…という選択が出てくる。
ごくごく自然なことですが、物語展開として地味ながら意外性があって惹きつけられました。

その上で、『これだけ集合住宅で人が居るんだし…誰かが』という心理が働き、他人との関係の希薄な現代の闇という部分のテーマに主人公の心が揺さぶられていくストーリー構成がグッジョ!

演出も素晴らしくて、目撃されてからマンションを彷徨く犯人の影に怯える主人公の気持ちを、マンションの何もない郵便受けと階段の空間にぐーっとカメラがよってく演出など勉強になる!
怖いって感覚はその事前の段階で布石を打ってたら『画面上に何もない』ことがもはや怖い!ってなるんだなと!

あと新鮮だったのが、殺人犯が追っかけてくる時にハンマー投げるやつ。笑
ジタバタ追っかけるより手っ取り早いんで投げるってのが、現実味がありました。
あともう1人の目撃者の女の人が襲われるアレ。一回エレベーターで鉢合わせてから家の前で走ってくる描写、ベタだけど撮り方うまくてめっちゃドキドキした笑

評価の低い理由はおそらく主人公が終盤までは自発的に行動しないで、証言を拒否し続ける消極的なやつだからその展開がつまらなく感じた人が多いんじゃないのかなぁと予想してみたり…

あと、奥さんにも犯人の事を言わないって言うのは確かにちょっと首を捻る展開ですね…。

ただ、序盤見られてるのか?見られてないのか?分からない状態でまだ精神的にも油断してる面もあって、購入したての家のローン、告白した後警察に行こうとなった場合のリスクを考えると言えない…!ってなる主人公の気持ちも、作中に明確に示される訳ではありませんが状況をみれば読み取れるように描写されてる気がしました。

おそらく背景には、韓国の警察(公的組織)への不信感の強さが国民性として流れてるんじゃないかな〜?と想像しながら見てました。いざ危機に陥って助けを求めても誰も助けてくれないんじゃないか?って漫然と恐怖心があるんじゃないかな。

加えて資本主義というか、個人主義的な『よそはよそ、うちはウチ』という閉鎖的なコミュニティってどうなの?ということがメインテーマだと思うのですが、そういう意味で凄く胸に残るラストでした。
あそこででも、自分ちの明かりだけパッとついて何事かしら?と奥さんがこちらを見る。嬉しくて笑みが溢れる。しかし、そんな純真な奥さんの有り様と、世界の恐ろしさに想いを馳せて表情が曇ってエンド。
だと更にいいなぁ…笑(妄想)
まぁ引っ越した後だもんねアレ笑

めっちゃ書き殴ってしまった。
すんません
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