次郎

砂塵の次郎のレビュー・感想・評価

砂塵(1939年製作の映画)
4.2
原題「DESTRY RIDES AGAIN」。1939年公開とは思えない西部劇というジャンルに対する批評性。保安官というものは家父長制におけるマッチョな父と同義であり、発砲はすべからく射精のメタファーだ。そんな中で本作におけるジェームズ・ステュアート演じる主人公における有名保安官の息子でありながら銃を持たず、酒場でミルクを頼んで笑われても動じないその性格は何とも言えず痛快で、例え話として友人の例を持ち出すトークも気が利いている。そしてヒロインというよりはもう一人の主人公とでも言うべきマレーネ・ディートリヒもただ画面を彩るだけでなく歌い、誑かし、キャットファイトまで披露しながら腑抜けた男女を煽り立てる。登場人物の多くも個性的でどんちゃん騒ぎ、保安官をサポートする仲間も間抜けながら憎めない。冒頭に紹介される町名、ボトルネックというネーミングセンスから感じていたセンスの良さに間違いのなかった傑作。
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