たく

砂塵のたくのレビュー・感想・評価

砂塵(1939年製作の映画)
3.6
マレーネ・ディードリヒが西部劇に出てるのを初めて見た。「嘆きの天使」と同じく歌手として歌うシーンから登場するんだけど、彼女らしいアルトの中性的な歌声に乗せつつ西部の無法者みたく「ヒャッホー!」って叫びまくるのがかなりインパクトあった。

西部の田舎町を牛耳ってるケントがイカサマ賭博で膨大な土地をせしめて儲けようとしてて、その企みを阻止しようとした保安官を始末して代わりに飲んだくれで無害なウォッシュを保安官に昇格させるところに、この街が完全にケントに掌握されてるのを見せる手際が上手い。
ここから保安官代理としてやってくるジェームズ・スチュワート演ずる若きデストリーが「親父譲りの拳銃の達人」という噂に反して丸腰で弱弱しく、人々から馬鹿にされつつも法と秩序を重んじて意に介さない導入がスムース。親父が背中から撃たれたことであえて武器を持たないという信念を貫いてるんだけど、その割にあっさり銃の達人の本性をバラしちゃうのにはちょっと笑った。

ジェームズ・スチュワートがマレーネ・ディードリヒと共演してる意外さが、ジョン・ウェインと共演した「リバティ・バランスを射った男」を観たときと似た印象で、水と油の正反対キャラにも関わらず互いに心を通わせる役柄にうまく活きてたね。
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