ふぇりな

7月22日のふぇりなのレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
3.7
2011年7月22日に発生したノルウェー連続テロ事件を描いた映画、2本目。
こちらは以前観た作品とは異なり、事件の前日から始まって、後日の裁判に至るまで、事件の全容を描いていました。

前回の映画では子供たち視点でしか描かれなかったため、保護者は?引率の先生は?政府は?警察は?といった大人たちの動きが分からなかったので、こちらの映画で彼らの行動についても理解出来てよかったです。特に焦点が当たっていた首相、弁護士、生存者、生存者の家族といった人々の演技はどれも素晴らしく、グサッと刺さるような苦しさがとても伝わってきました。それぞれの立場で、それぞれの苦しみがあり、そしてそれを乗り越える。作中のセリフにあるような「弱くても強い」人々の言葉が、すごく印象的でした。凶行に至った犯人なんかより、PTSDや社会からの視線にも負けずに生きている、善良な人々のほうが、何倍も強いしかっこよかったです。

映画としての見どころもありつつ、事実を曲げないように描いていて、事件を描いた作品としてはとてもクオリティが高いな、と思ったのですが…唯一気になったのが犯人の描き方でした。彼の主義主張まで描いてしまうのは、やっぱりいらないような気がします。人間の99%は彼の意見になんて賛同しないと信じたいですが、1%は影響を受けます。プロパガンダのように捉えられないこともありません。犯人に寄り添うのも、法のもとに平等、ってことなんだろうか…と悩んでしまいました。そこまでの自由は必要なのだろうか。難しいですね。
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