Smoky

ROMA/ローマのSmokyのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.6
美しく、静かで、嫋やかで、女性的な力強さに溢れた作品。

ローマ(ROME)じゃなくて、ローマ(ROMA)。イタリアではなくメヒコのコロニア・ローマが舞台。

時間軸や世相、登場人物の心情の変化や対比を、全て、カメラの構図や動き、長回しを多用した尺などで語る美しいモノクロの映像(65ミリで撮影されたらしい)が、どんな言葉(台詞)よりも雄弁に語りかけてくる。

人種と階層、揺れる社会と個人や家族、母親が子供たちに婚姻生活の破綻を告げる背景で繰り広げられる結婚式、動乱と殺戮を機に始まる出産とその後の出来事、幾度となく同じカットで写し出される家の中の微妙な変化…などなど。

変わるもの、変わらないもの。変えるべきもの、変えてはいけないもの…。中心を貫くのは家族の愛情と主人公の澄んだ眼差し。

年末に出会った2018年No.1映画(多分)。……やっぱ、この監督、天才だわ。
Smoky

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