Smoky

ジョン・ウィック:コンセクエンスのSmokyのレビュー・感想・評価

3.8
誰も見たこのない映像美でアクション映画を新しい次元に引き上げた『マトリックス』の公開が25年前。15年後にこの映画でキアヌのスタントマンをやっていたチャド・スタエルスキが監督となり自ら培ったスタント美学によってアクション映画を更に新しい次元に引き上げたのが『ジョン・ウィック』という映画。
 
当時の『マトリックス』がそうであったように『ジョン・ウィック』のキレのあるスタイリッシュなアクションは、従来のアクション映画を陳腐化させてしまうインパクトを放っている(クレイグの『007』シリーズや、トム様の『ミッション』シリーズが終了したのは少なからずその影響だと思っている)。
 
『マトリックス』が『攻殻機動隊』のオマージュであったように、『ジョン・ウィック』の大阪コンチネンタルホテルの風景は35年前にリドリー・スコットが『ブラックレイン』で描いた大阪の街へのオマージュ、キレッキレのドニー・イェンの盲アクションは『座頭市』へのオマージュ(『ローグ・ワン』と被る)、サクレ・クール寺院の階段落ちは『蒲田行進曲』へのオマージュ(スタントマンの矜持を描いた映画!)、朝陽を浴びて階段に佇むラストのミスター・ウィックは『カウボーイ・ビバップ』へのオマージュ。
 
スタエルスキと最初の『ジョン・ウィック』を監督したデビッド・リーチがブラッド・ピット主演で創った『ブレット・トレイン』で描かれる新幹線や日本もそうだけれど、時代は巡り、日本のポップカルチャーを観て育った外国人たちがオマージュ全開の映画を創るようになった。そこで描かれる日本は、もはやムービーカルチャーのジャンルとして成立した日本であり、一昔前のように、我々日本人がどうこう言うべきものではない気がする。ちなみに、リーチもやはりブラピのスタントマンであり、どちらの作品にも出演している真田広之が、両監督が敬愛する故千葉真一の愛弟子であることは言うまでもない。むしろ、そのことを知らない日本人の方がイタい。
 
そして何よりも、今年還暦を迎えるキアヌ・リーブスが『マトリックス』でも『ジョン・ウィック』でも主役を演じていることに最高のリスペクトを捧げたい!

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